日々の戯言、腐女子的日記
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Act 2
扉を開けるとそこは異世界でした。
いきなり何言い出すんだとか言わないで。だってマジで異界に迷い込んだかと思ったんだもん。
出かける前はフツーだったキッチンが、今や魔界に成り果てていた。
ボーゼンと立ちすくむオレに、藤代は自分の部屋からひょっこりと顔を出してきた。
「あ、お帰りー」
能天気な笑顔付き。
これは何事?
般若の顔して聞こうと思い、口を開くが出たのは別の言葉。
「うわー!おま、手、血っ!」
たらたらと藤代の左手から真っ赤な液体が流れていた。
しかも結構な量。
「ああ、お皿わっちゃって、片付けようとしたら手切っちゃった。絆創膏探してるんだけど見つからなくってさ」
のほほ~んと答えるこいつは馬鹿だ。
「何呑気なこと言ってるんだよっ!ちょ、こい!」
問答無用でヤツの手を引っ張って洗面所に押し込む。
蛇口を捻って流れ出した水に傷口を突っ込む。
「高橋、水につけると傷口痛いんだけど」
「黙らっしゃいっ!ガラスの破片が入ってたらどーすんのっ!」
あらかた流し終えるとタオルで水を拭いてやる。
血はやっぱりまだ止まんねぇよなー。水で流してたもんなー。
あーあ、白いタオルが真っ赤になっちゃったよ。血はおちねぇんだぞ。このタオルはもうダメだな。
「ちょっと傷口押さえてろ、消毒とかあったはずだから取ってくる」
確かまだあけていない段ボールのどこかに入っていたるはず。心配性の姉が勝手に放り込んでたのを思い出す。
藤代をリビングのソファーに放り出して自分の部屋に戻る。
あやふやな記憶を頼りにまだ放置している段ボールをあけると、どうにかこうにか発掘できた。
手早く消毒をしてガーゼを当てる。もうだいぶ血は止まったようだ。
その上からずれないように包帯を巻いて出来上がり。
「ありがとう。高橋って器用だなぁ」
ぐるぐる巻かれた包帯をまじまじと見ながら感心したように言う。
「そうか?普通だろ。……てかちょっと聞いていいか?」
「何?」
「あの状況はいったいどういうこと?」
ここでようやく聞くことが出来た。
いったいどうすれば一日でこんなにキッチンを汚すことができるんだよ?ところどころヘンなものが飛び散ってるし、鍋の中には不可思議な物体が入っているし、生ゴミはそこら辺に落ちてるし。
「あー……」
気まずそうに視線をさまよわせてぽりぽりと頭をかく。
「その、おなかがすいたからご飯作ろうと思って……」
「ほほーう」
「作ってたら……」
「作ってたら?」
「……気がついたらこうなってて」
「…………」
改めてキッチンを見る。
鍋にはなにやら不可思議なものがさらに不可思議なものに成り果てている。それに何よりなんで木のまな板が真っ二つに割れてんのよ?ありえないだろ。しかも切り口きれいだし。意外と馬鹿力さん?
何がどうなったらこうなるんだか。普通に調理して失敗したとしてもここまで散らかさねぇだろ。
盛大な溜息をついたオレに藤代は申し訳なさそうに俯いた。
これからの生活がいっそう不安なものになった瞬間だった。
オレ、うまくやっていけるかな……?
今日の朝は和食でぃー。
味噌汁、酢の物、焼き魚~。
手早く料理を並べて藤代の部屋に乗り込む。
藤代は結構な低血圧の持ち主で、部屋に3つも目覚まし時計があるのにそれでもまだ起きられないくらいだ。あ、携帯のアラームもあるから正確には4つか?
鳴り止まない目覚まし音に音を上げたのがオレ。うるせーんだもん。
以来オレは目覚ましがなる前に藤代を起こすようにしている。起きて飯作って藤代を起こす。これがオレの日課になった。……ヤな日課だな。
「お~い、起きろー」
ベットで布団に包まっている藤代に蹴りを加える。
「ぐえっ」
カエルがひしゃげたような声を出してヤツが起きるのもいつも通り。
んでまだ眠たそうに布団に潜り込むのもいつも通り。
「起きて、だーりん。……飯捨てるぞ?」
最初はキショイ裏声で、最後はポツリと低く呟けばヤツもしぶしぶ起きてくる。
「……おはよう」
「おはよーさん」
藤代が料理はおろか、洗濯も掃除も出来ないダメ男だということは一緒に生活し始めて1ヶ月もたたないうちに骨身にしみて分かった。家事をしようとすれば必ず何かをしでかす。米を洗剤で洗おうとしたり、普通のタオルで食器を拭こうとしたりetc etc。皿を割ることなんて当たり前だ。
なのでいやいやながら家事全般はオレがこなしているわけ。こいつに任したら家中大変なことになる……。冗談抜きで。何回こいつの後始末をさせられたことか。
「今日は和食?珍しいね」
「そ。味噌汁が食いたかったんだよ。これから暫くは和食だから」
顔を洗ってきた藤代が席につく。ご丁寧に手を合わせていただきますまで言ってくる。
律儀なヤツだ。
「美味い……」
「そりゃどうも」
本当律儀。
そのまま無言で飯を食うことに専念する。
~~~♪♪
お気に入りの歌手が最近出した新曲の歌が無言で飯を食うオレ達の間に流れた。
「っと、メールだ」
何だよ。剛史からじゃねーか。
「あれ?藤代携帯変えた?」
「ん?ああ、最新機種だぜ」
メールの返事を返していれば、横から藤代が話しかけてくる。
「へぇ、すごい。カッコイイね」
「だろ?デザインだけでこれに決めたんだ」
シンプルな黒いケータイだが、そのシンプルさが気に入って買ったのだ。藤代に褒められてちょっとだけいい気になる。単純で結構!
「いいなぁ。俺もそれに変えようかなぁ」
あ?
「変えるって、お前ケータイ、Dokomoだろ。オレのauだぜ?」
会社違うから同じのはねーぞ?
「あれ?高橋auだっけ?」
「おう」
学割あるからな。うちはみんなauだ。
「そっかー」
「お前もauにすれば?番号そのまま!」
「ポータビリティ?そっかー。それでもいいかも」
……冗談のつもりで言ったんだけど。そんなに気に入ったのか?このケータイ?
いきなり何言い出すんだとか言わないで。だってマジで異界に迷い込んだかと思ったんだもん。
出かける前はフツーだったキッチンが、今や魔界に成り果てていた。
ボーゼンと立ちすくむオレに、藤代は自分の部屋からひょっこりと顔を出してきた。
「あ、お帰りー」
能天気な笑顔付き。
これは何事?
般若の顔して聞こうと思い、口を開くが出たのは別の言葉。
「うわー!おま、手、血っ!」
たらたらと藤代の左手から真っ赤な液体が流れていた。
しかも結構な量。
「ああ、お皿わっちゃって、片付けようとしたら手切っちゃった。絆創膏探してるんだけど見つからなくってさ」
のほほ~んと答えるこいつは馬鹿だ。
「何呑気なこと言ってるんだよっ!ちょ、こい!」
問答無用でヤツの手を引っ張って洗面所に押し込む。
蛇口を捻って流れ出した水に傷口を突っ込む。
「高橋、水につけると傷口痛いんだけど」
「黙らっしゃいっ!ガラスの破片が入ってたらどーすんのっ!」
あらかた流し終えるとタオルで水を拭いてやる。
血はやっぱりまだ止まんねぇよなー。水で流してたもんなー。
あーあ、白いタオルが真っ赤になっちゃったよ。血はおちねぇんだぞ。このタオルはもうダメだな。
「ちょっと傷口押さえてろ、消毒とかあったはずだから取ってくる」
確かまだあけていない段ボールのどこかに入っていたるはず。心配性の姉が勝手に放り込んでたのを思い出す。
藤代をリビングのソファーに放り出して自分の部屋に戻る。
あやふやな記憶を頼りにまだ放置している段ボールをあけると、どうにかこうにか発掘できた。
手早く消毒をしてガーゼを当てる。もうだいぶ血は止まったようだ。
その上からずれないように包帯を巻いて出来上がり。
「ありがとう。高橋って器用だなぁ」
ぐるぐる巻かれた包帯をまじまじと見ながら感心したように言う。
「そうか?普通だろ。……てかちょっと聞いていいか?」
「何?」
「あの状況はいったいどういうこと?」
ここでようやく聞くことが出来た。
いったいどうすれば一日でこんなにキッチンを汚すことができるんだよ?ところどころヘンなものが飛び散ってるし、鍋の中には不可思議な物体が入っているし、生ゴミはそこら辺に落ちてるし。
「あー……」
気まずそうに視線をさまよわせてぽりぽりと頭をかく。
「その、おなかがすいたからご飯作ろうと思って……」
「ほほーう」
「作ってたら……」
「作ってたら?」
「……気がついたらこうなってて」
「…………」
改めてキッチンを見る。
鍋にはなにやら不可思議なものがさらに不可思議なものに成り果てている。それに何よりなんで木のまな板が真っ二つに割れてんのよ?ありえないだろ。しかも切り口きれいだし。意外と馬鹿力さん?
何がどうなったらこうなるんだか。普通に調理して失敗したとしてもここまで散らかさねぇだろ。
盛大な溜息をついたオレに藤代は申し訳なさそうに俯いた。
これからの生活がいっそう不安なものになった瞬間だった。
オレ、うまくやっていけるかな……?
今日の朝は和食でぃー。
味噌汁、酢の物、焼き魚~。
手早く料理を並べて藤代の部屋に乗り込む。
藤代は結構な低血圧の持ち主で、部屋に3つも目覚まし時計があるのにそれでもまだ起きられないくらいだ。あ、携帯のアラームもあるから正確には4つか?
鳴り止まない目覚まし音に音を上げたのがオレ。うるせーんだもん。
以来オレは目覚ましがなる前に藤代を起こすようにしている。起きて飯作って藤代を起こす。これがオレの日課になった。……ヤな日課だな。
「お~い、起きろー」
ベットで布団に包まっている藤代に蹴りを加える。
「ぐえっ」
カエルがひしゃげたような声を出してヤツが起きるのもいつも通り。
んでまだ眠たそうに布団に潜り込むのもいつも通り。
「起きて、だーりん。……飯捨てるぞ?」
最初はキショイ裏声で、最後はポツリと低く呟けばヤツもしぶしぶ起きてくる。
「……おはよう」
「おはよーさん」
藤代が料理はおろか、洗濯も掃除も出来ないダメ男だということは一緒に生活し始めて1ヶ月もたたないうちに骨身にしみて分かった。家事をしようとすれば必ず何かをしでかす。米を洗剤で洗おうとしたり、普通のタオルで食器を拭こうとしたりetc etc。皿を割ることなんて当たり前だ。
なのでいやいやながら家事全般はオレがこなしているわけ。こいつに任したら家中大変なことになる……。冗談抜きで。何回こいつの後始末をさせられたことか。
「今日は和食?珍しいね」
「そ。味噌汁が食いたかったんだよ。これから暫くは和食だから」
顔を洗ってきた藤代が席につく。ご丁寧に手を合わせていただきますまで言ってくる。
律儀なヤツだ。
「美味い……」
「そりゃどうも」
本当律儀。
そのまま無言で飯を食うことに専念する。
~~~♪♪
お気に入りの歌手が最近出した新曲の歌が無言で飯を食うオレ達の間に流れた。
「っと、メールだ」
何だよ。剛史からじゃねーか。
「あれ?藤代携帯変えた?」
「ん?ああ、最新機種だぜ」
メールの返事を返していれば、横から藤代が話しかけてくる。
「へぇ、すごい。カッコイイね」
「だろ?デザインだけでこれに決めたんだ」
シンプルな黒いケータイだが、そのシンプルさが気に入って買ったのだ。藤代に褒められてちょっとだけいい気になる。単純で結構!
「いいなぁ。俺もそれに変えようかなぁ」
あ?
「変えるって、お前ケータイ、Dokomoだろ。オレのauだぜ?」
会社違うから同じのはねーぞ?
「あれ?高橋auだっけ?」
「おう」
学割あるからな。うちはみんなauだ。
「そっかー」
「お前もauにすれば?番号そのまま!」
「ポータビリティ?そっかー。それでもいいかも」
……冗談のつもりで言ったんだけど。そんなに気に入ったのか?このケータイ?
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