日々の戯言、腐女子的日記
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Act 4
あんまり気は進まなかったのだが、押し付けられてしまった映画の券を無駄にするのも気が引けるし、何よりあの3人の異様な剣幕がいっそ哀れだった。
なので渋々ながらも藤代を映画に誘ってみたのだが、やっぱり止めときゃよかったとさっそく大後悔。
祝日の休みの日に来てしまったもんだから人がやたら多い。しかも話題の映画がどうやら昨日から公開だったらしく、いつも以上に多いのだろう。館内は人で溢れかえっていた。そしてやたらと女からの視線が突き刺さる。
もちろんその視線は真っ直ぐに藤代に突き刺さるわけですけどね、普段そういう視線に慣れてないオレにとってはとっても不快なのでございますよ。
なんってーか、落ちつかねぇ……。
映画の待ち時間、時間つぶしに入ったファーストフードのカウンターに腰掛けてオレは思わず大きく溜息をついてしまった。
「どうしたの?」
それを耳ざとく聞きつけた藤代が心配げに眉を寄せて聞いてきた。
「いんや、別に」
こういう気配りってコイツすげぇ上手いよな。人の気持ちを汲むのが上手いというか。
「そう?高橋ってひょっとして人ごみ苦手?」
「苦手っていうか、得意な奴っていんのか?」
「いや、乾は好きみたいでさ。人ごみっていうか、なんかイベントとかが好きみたいなんだけど人が集まるところによく行きたがるんだ」
ほう、物好きな奴もいるもんだ。
「オレはインドア派なのよ。外より中、ホーム」
「あはは、その割には高橋よく外出してるね」
「剛史等に連れ回されるんだよ。めんどくせぇー」
気がつけばあいつらがどこかに出かける予定を立ててて、オレはいつも巻き込まれる形だ。
「そう?じゃあ、今度は家でゆっくりしようか?」
あ?今度はってなんだよ。訝しげに藤代に視線を向けるが、奴はこの上なく上機嫌そうにコーヒーを啜っていた。
なんだろ。最近のオレってば疫病神とお友達にでもなっちゃってるんだろうか?
突然藤代のダチには捕まるしチケット押し付けられるし仕方がないから映画館に行けばむちゃくちゃ込んでて2時間も待たされるしやっと映画が終わったと思えば会いたくない――ってか会ったらダメだろっていう2人組みに出くわすし。
「あ」
「え?」
「げっ」
「……」
デートに映画ってベタすぎだろ。
4人それぞれの反応で固まったのは映画館を出てすぐの場所。
映画はそれなりに楽しかったさ。今話題の作品だけあって面白かった。大画面だから迫力もあるし、テレビで見るより断然面白い。
人ごみと集まる視線にはうんざりだが、たまには映画館で見るってもの面白いかもしれないなどと思ってしまった。
これからどうする?って藤代に聞かれ、時計を見れば時刻は夕方短針が6を回っていた。帰って飯を作るのも正直めんどい。どっかで食って帰るかなんて話をしていれば、よく見知った顔を見つけてしまった。
「渡辺?」
「藤代、くん……」
デートしてたのであろう剛史と美紗子が、こちらを向いたまま固まっていた。
気まずい沈黙が流れたが、それを最初に破ったのは意外にも当事者の美紗子のほうだった。
顔に強気の笑みを浮かべると、見せ付けるように剛史の腕に自分の腕を絡ませた。
「あら、偶然ね。藤代くんも映画観てたの?」
「お、おいっ!」
絡まれた腕に剛史は慌てるが、よほどがっしり掴んでいるのか美紗子は離さない。
「2人?」
「あ、うん。高橋と2人で来たんだ。渡辺も、2人?えっと、確か高橋の友達だったよね?剛史、だっけ?」
「そう。デートなの」
デートの部分をわざと強調して言った。うわー、嫌だよこの空気。女ってやっぱ怖ぇー。
藤代は呆然としたように美紗子と剛史を交互に見た。そりゃショックだよな。いくら自分から振ったとはいえ1ヶ月もまだたたないうちに新しい恋人できてたら。
「そっか、新しい彼氏できたんだ。……よかった」
うん、そうでもないみたい。心底ほっとして心から祝福の笑みを浮かべてるよコイツ!
それを受けて美紗子のやつはめっちゃ顔が引きつってるけど。
気持ちは分かる。分かるけど剛史の腕に爪を立ててもどうにもならないと思うぞ。剛史も変な意地張ってないで痛いなら痛いって言えば良いのに。
「おかげさまで。藤代くんのほうはどうなの?本命のコとは進展あった?」
うっわ。いきなりそういうこと聞くか?
「え?いや……その……あったような、なかったような」
てか藤代も律儀に答えんなよ。顔を真っ赤にして乙女全開。キモイって。
「藤代くんだったら相手のほうからよってくるんじゃない?」
美紗子さん、言葉の節々にとげが含まれてます。怖ぇー怖えよ女は。藤代にはそのとげが全然見えてないみたいですけどっ。
「…そんなことはないよ」
自信なさげに儚げに笑った藤代に、どうやら美紗子も毒気を抜かれたようだ。
「なに?まだ告白とかもしてないの?」
「……うん」
「じれったいわねぇ。さっさと告っちゃえばいいのに」
「それが、そうもいかなくてさ……」
「相手がどっかのお嬢様で立場が違いすぎるとか、そんなんじゃないでしょ?第一藤代くんもお金持ちだものね」
「うん、そうだったら簡単なんだけど」
あ、金持ちの部分は否定しないんだ。自覚ありかよ。てか美紗子さんなんで藤代のお悩み恋愛相談やってんの?
「誰よ?あたしの知ってる人?」
「う、うん。知ってる」
「誰?」
「え、えっと」
をい。そこで何でオレを見る。
「何よ、あたしには言えないっていうの?」
「そういうわけじゃないけど……」
だからなんでそこでオレを……、てオレには知られたくないってことか?
どうやら美紗子にもそれは伝わったらしく、オレの顔をちらりと見て大きく頷いた。
「分かったわ。まぁ、また今度その話はゆっくり聞かせてもらいましょう。あたしのアドレス消してないでしょうね?」
後で聞くのかよ。
「うん。消してないよ。相談に乗ってくれるの?」
「まぁね。感謝しなさいよ」
「うん。ありがとう」
てか、現彼氏の前で連絡取り合います的な話をするなよ。
「いいんですか?アレ」
剛史の横に行って聞いてみる。
「いいんじゃないですか?」
いいのかよ。
「お前、嫉妬しないんだな」
「いや、縁が戻るとは思えないし、嫉妬するだけ無駄?みたいな?」
疑問系かよ。まぁ、分からんでもないが。
「それに嫉妬するんだったらお前に対してもだろ?」
お、そうか。オレも一応元々カレになんのか。
……なんか考えてみればこのメンバーってやなメンバーだな。
どうでもいいが。
なので渋々ながらも藤代を映画に誘ってみたのだが、やっぱり止めときゃよかったとさっそく大後悔。
祝日の休みの日に来てしまったもんだから人がやたら多い。しかも話題の映画がどうやら昨日から公開だったらしく、いつも以上に多いのだろう。館内は人で溢れかえっていた。そしてやたらと女からの視線が突き刺さる。
もちろんその視線は真っ直ぐに藤代に突き刺さるわけですけどね、普段そういう視線に慣れてないオレにとってはとっても不快なのでございますよ。
なんってーか、落ちつかねぇ……。
映画の待ち時間、時間つぶしに入ったファーストフードのカウンターに腰掛けてオレは思わず大きく溜息をついてしまった。
「どうしたの?」
それを耳ざとく聞きつけた藤代が心配げに眉を寄せて聞いてきた。
「いんや、別に」
こういう気配りってコイツすげぇ上手いよな。人の気持ちを汲むのが上手いというか。
「そう?高橋ってひょっとして人ごみ苦手?」
「苦手っていうか、得意な奴っていんのか?」
「いや、乾は好きみたいでさ。人ごみっていうか、なんかイベントとかが好きみたいなんだけど人が集まるところによく行きたがるんだ」
ほう、物好きな奴もいるもんだ。
「オレはインドア派なのよ。外より中、ホーム」
「あはは、その割には高橋よく外出してるね」
「剛史等に連れ回されるんだよ。めんどくせぇー」
気がつけばあいつらがどこかに出かける予定を立ててて、オレはいつも巻き込まれる形だ。
「そう?じゃあ、今度は家でゆっくりしようか?」
あ?今度はってなんだよ。訝しげに藤代に視線を向けるが、奴はこの上なく上機嫌そうにコーヒーを啜っていた。
なんだろ。最近のオレってば疫病神とお友達にでもなっちゃってるんだろうか?
突然藤代のダチには捕まるしチケット押し付けられるし仕方がないから映画館に行けばむちゃくちゃ込んでて2時間も待たされるしやっと映画が終わったと思えば会いたくない――ってか会ったらダメだろっていう2人組みに出くわすし。
「あ」
「え?」
「げっ」
「……」
デートに映画ってベタすぎだろ。
4人それぞれの反応で固まったのは映画館を出てすぐの場所。
映画はそれなりに楽しかったさ。今話題の作品だけあって面白かった。大画面だから迫力もあるし、テレビで見るより断然面白い。
人ごみと集まる視線にはうんざりだが、たまには映画館で見るってもの面白いかもしれないなどと思ってしまった。
これからどうする?って藤代に聞かれ、時計を見れば時刻は夕方短針が6を回っていた。帰って飯を作るのも正直めんどい。どっかで食って帰るかなんて話をしていれば、よく見知った顔を見つけてしまった。
「渡辺?」
「藤代、くん……」
デートしてたのであろう剛史と美紗子が、こちらを向いたまま固まっていた。
気まずい沈黙が流れたが、それを最初に破ったのは意外にも当事者の美紗子のほうだった。
顔に強気の笑みを浮かべると、見せ付けるように剛史の腕に自分の腕を絡ませた。
「あら、偶然ね。藤代くんも映画観てたの?」
「お、おいっ!」
絡まれた腕に剛史は慌てるが、よほどがっしり掴んでいるのか美紗子は離さない。
「2人?」
「あ、うん。高橋と2人で来たんだ。渡辺も、2人?えっと、確か高橋の友達だったよね?剛史、だっけ?」
「そう。デートなの」
デートの部分をわざと強調して言った。うわー、嫌だよこの空気。女ってやっぱ怖ぇー。
藤代は呆然としたように美紗子と剛史を交互に見た。そりゃショックだよな。いくら自分から振ったとはいえ1ヶ月もまだたたないうちに新しい恋人できてたら。
「そっか、新しい彼氏できたんだ。……よかった」
うん、そうでもないみたい。心底ほっとして心から祝福の笑みを浮かべてるよコイツ!
それを受けて美紗子のやつはめっちゃ顔が引きつってるけど。
気持ちは分かる。分かるけど剛史の腕に爪を立ててもどうにもならないと思うぞ。剛史も変な意地張ってないで痛いなら痛いって言えば良いのに。
「おかげさまで。藤代くんのほうはどうなの?本命のコとは進展あった?」
うっわ。いきなりそういうこと聞くか?
「え?いや……その……あったような、なかったような」
てか藤代も律儀に答えんなよ。顔を真っ赤にして乙女全開。キモイって。
「藤代くんだったら相手のほうからよってくるんじゃない?」
美紗子さん、言葉の節々にとげが含まれてます。怖ぇー怖えよ女は。藤代にはそのとげが全然見えてないみたいですけどっ。
「…そんなことはないよ」
自信なさげに儚げに笑った藤代に、どうやら美紗子も毒気を抜かれたようだ。
「なに?まだ告白とかもしてないの?」
「……うん」
「じれったいわねぇ。さっさと告っちゃえばいいのに」
「それが、そうもいかなくてさ……」
「相手がどっかのお嬢様で立場が違いすぎるとか、そんなんじゃないでしょ?第一藤代くんもお金持ちだものね」
「うん、そうだったら簡単なんだけど」
あ、金持ちの部分は否定しないんだ。自覚ありかよ。てか美紗子さんなんで藤代のお悩み恋愛相談やってんの?
「誰よ?あたしの知ってる人?」
「う、うん。知ってる」
「誰?」
「え、えっと」
をい。そこで何でオレを見る。
「何よ、あたしには言えないっていうの?」
「そういうわけじゃないけど……」
だからなんでそこでオレを……、てオレには知られたくないってことか?
どうやら美紗子にもそれは伝わったらしく、オレの顔をちらりと見て大きく頷いた。
「分かったわ。まぁ、また今度その話はゆっくり聞かせてもらいましょう。あたしのアドレス消してないでしょうね?」
後で聞くのかよ。
「うん。消してないよ。相談に乗ってくれるの?」
「まぁね。感謝しなさいよ」
「うん。ありがとう」
てか、現彼氏の前で連絡取り合います的な話をするなよ。
「いいんですか?アレ」
剛史の横に行って聞いてみる。
「いいんじゃないですか?」
いいのかよ。
「お前、嫉妬しないんだな」
「いや、縁が戻るとは思えないし、嫉妬するだけ無駄?みたいな?」
疑問系かよ。まぁ、分からんでもないが。
「それに嫉妬するんだったらお前に対してもだろ?」
お、そうか。オレも一応元々カレになんのか。
……なんか考えてみればこのメンバーってやなメンバーだな。
どうでもいいが。
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