日々の戯言、腐女子的日記
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Act 5
「何がどうなてこうなってるんだ?」
酒瓶片手にやって来た(というか来させた)梶原の言葉に、オレは乾いた笑みを浮かべた。
「梶原くんおっそ~い!」
ぷぅ~と頬を膨らませて怒る美紗子に「ごめん」と返事をしながらも視線でどういうこと?と問いかけてくるが、オレ自身今の状況が分かっていないのに答えられるわけがない。
映画館で会ってしまったあと、普通ならその場で別れるはずだ。オレ自身そのつもりでいた。曲がりなりにも片方はカップル。せっかくのデートの邪魔をしては悪いというものだろう。
しかし現実とは奇妙なもので、現時点でオレ、藤代、美紗子、剛史の4人はうちのアパートに転がり込んできている。
何がどういう話の流れになればうちのアパートで酒盛りなどということになるのか説明してほしい。
んでもってどうせなら人数増やそうっつーことで梶原や森口に電話をし、強制召集をかけたのだ。主に美紗子が。
なんだ。夏の悪夢、再び!か?笑えねぇつーの。ちなみに山脇と乾にも声はかけたのだが、2人ともデート中だそうで断りやがった。明日制裁を加えたいと思います。
「酒持ってきたか?」
「一応、貰い物だけどワインが家にあったから」
「あ、白ワイン!あたし大好き~」
目ざとく梶原の持ってきたワインを奪う美紗子に、奥から声がかかった。
「渡辺~、オーブンもういいみたいだけど、これ入れて焼いたらいいの?」
「待て!お前は何もするなって言ったろ!!美紗子、あれはお前が作ってたやつなんだからお前がやれ!!あいつにはマジで料理さすな!!!オーブン壊れる!料理焦げる!!!!」
オーブンに手をかけている藤代を見た瞬間、オレの血が全部下がったのが分かった。
美紗子も藤代のダメダメっぷりはよく知っているのだろう。「了解!」と言って藤代のところにすっ飛んでいった。
ふう。
とりあえず一安心だ。
「あ、お魚もういいみたい。剛史ー、グリルの中の魚とって」
「へいへい。あ、美紗子フライパンで焼いてるやつはいいのか?」
「きゃーっ!!焦げてるじゃないっ!!!早く火止めてっ!!!!藤代、それくらいできるでしょっ!!」
「ええ!?こ、こう?」
「ば、馬鹿!!火強めてどうするんだよ!!」
「逆よ逆っ!!!」
賑やかだな……。もっと落ち着いて料理しろよ。
「なぁ、何がどうなってるんだ?」
「オレに聞くな」
とりあえず、梶原の問いには答えられそうにない。
「今回料理は美紗子ちゃんがメインで作ってみました~!」
テーブルに並んだ料理(ところどころ焦げたり不恰好な形のものがあるが)は色鮮やかでおいしそうだ。
「よくこれだけの料理作れたな」
「あたしだって料理の勉強くらいするのよ」
「へー」
「まぁ、とりあえずは乾杯しようか?」
梶原の言葉にグラスにそれぞれ好みの酒を注ぎ「乾杯!」とグラスを合わせる。
「おお、意外と食えるな!」
「意外とってどういう意味よっ!」
早速失言をかましたのは剛史だ。美紗子に食って掛かられ、回答を避けて視線を逸らせれば綺麗に伸びた爪で頬を引っかかれた。
「いや、でも本当に美味しいよ」
そんな様子に苦笑いをしながらフォローを入れるのは梶原だ。やたらキラキラした王子様スマイルで美紗子を褒める。
とたんに機嫌が直るのだから女とは現金なものだ。だがここで天狗にさすのは面白くない。
「確かに、昔食った美紗子のカレーに比べたら格段の進歩だな」
「あ、あれは……っ!」
意地悪く昔の話を掘り返せばとたんに美紗子が焦った声を出す。
「あー、あれか。高3のとき食ったっていう……」
「ちょっ!なんで剛史知ってんのよ!?」
「オレが喋ったからに決まってるだろ」
にやにや、にたにた。
「カレーって?」
首を傾げて疑問を口にしたのは森口だ。いらないことをと舌打ちする美紗子を無視して話を続ける。前のときはオレの恥話を散々されたからな。今度は美紗子の恥話で盛り上がらそうではないか。
「前に美紗子にカレー作ってもらったことがあるんが……」
オレの口を塞ごうと美紗子が身を乗り出したが、ナイスなタイミングで剛史が後ろから羽交い絞めにする。ついでに口も塞いでくれたから心置きなく喋れるってもんだ。
「カレーなんて材料切ってルー入れるだけだろ?なのに何故か壮絶に苦くてさぁ」
「こ、コーヒー入れたら深みが出るって聞いたから……!」
口を塞いでいた手に噛み付いて自由を得た美紗子が早速抗議してくる。
「だからってスプーンに3杯も入れるな、馬鹿。しかも材料の大きさばらばらだから生のもあるし」
「仕方ないじゃない!そのときはまだ料理なんてしなかったのよ!!」
「料理しない人間でもカレーを失敗するヤツはそういないぞ?」
「いるわよ!藤代だったら確実にあたしよりひどくなるわ!」
そう言って視線を藤代に向ける。
「いや、こいつと同列に見ちゃっていいのか?」
「……ごめん」
うんうん。そうだよな。
「おーい、藤代ヘコんでるぞ」
「フォロー入れてやれ」
「いや、事実だし。いいだろう、ほっておこう」
そう言えば藤代が恨みがましそうな視線を向けてきた。
「高橋、酷い……」
え?酷いのオレだけ?何で名指しでオレだけなのよ?
釈然としないものがあるがまぁいいや。聞くのも面倒くさいし。
「ところで、何でこのメンバーで酒盛りってことになったんだ?」
おお、いきなり直球!?確かに気になるところではあるが、よく聞く気になったな森口。まぁ、雰囲気が緩いから聞きやすかっただけなのかもしれないが。
「高橋と映画に行ったら偶然2人に会ったんだ。そしたらせっかくだから飲もうってことになって」
のほほんと藤代が答えれば森口が微妙な顔をした。
映画館に行く原因ってこいつ等だもんなぁ。
「でもびっくりしたなぁ。いつの間にか2人付き合ってるんだもん」
「は?」
「え!?」
いや、爆弾発言をいきなりかましますか、藤代さん?
「つき、あってんの?」
森口が動揺も露に剛史と美紗子の顔を交互に見る。
それに苦笑いしながら2人が頷くとどうしていいのか分からなかったんだろうな、俺の方に視線をよこしてきた。
だからといってここで俺に助けを求められても困るんだが……。
「それは、凄い……」
だろうな。凄いメンバーだと思うよ。俺も。
「そうねぇ~。歴代彼氏を3人もこうして並べてってのも珍しいわよね~」
おい。美紗子ちゃん?
「3人?」
「今カレ、元カレ、元々カレ」
森口の不思議そうな問いに美紗子は剛史、藤代、オレの順で指差しやがった。
「え!?」
「…………」
「あいたぁー……」
驚く森口に絶句する藤代。そして梶原には痛いのはオレだと言いたい。
美紗子もさらっとそういうことを言うなよな。
「あれ?言ってなかったっけ?藤代の前に高橋と付き合ってたこと」
「聞いてないです」
いやいや、普通そういうこと言わないでしょ。森口もなんか敬語になってるし。
「あれ?じゃぁ、何か。お前ら穴きょう……あだっ!!」
森口が下品極まりないことを言おうとしたがそれは梶原の鉄槌によって遮られた。だが、これだけは言わせてもらいたい。
「言っとくが、付き合うっても3ヶ月くらいだぞ?」
断じて美紗子とは何にもなかった!いや、キスぐらいはしたけど、舌くらいは入れたけど、それ以上のやましいことは一切何にもしておりません!だから穴兄弟なのは藤代と剛史だけだ。
言外にそう伝えたのだが、剛史により激しい反論が入った。
「はぁ!?何言ってるんだよ。お前、旅行行ってただろ?ゴールデンウィークに!」
ああ、そういや行ったな。美紗子と付き合いだしてすぐに。確か近所の商店街のくじ引きかなんかで当たった温泉旅行。
でもしてないぞ。
「そう。あたし、一樹にずっと聞きたかったの……」
あ、あれ?何で美紗子ちゃん睨んでくるんの!?
「コイツ、あの時あたしに手出してこなかったのよ!!!!」
「何ぃ!?」
「はあ!?」
「うそだろ!?」
「付き合ってたのよ!あの時確かに!しかも高3よ、高3。下着だって可愛いの買って準備万端だったのに、この男あたしがお風呂から出てきたらぐーすかと先に眠りこけてたのよっ!!何であの時手出してこなかったのよ!!?」
びしっ!と俺に指を突きつけて酷い男とばかりに罵られた。
「おいおいおいおい」
「お前、普通寝るか?」
信じられないとばかりに言われるが、悪いのか?手出さなきゃいけないって法律でもあるのかっ!?
「いいじゃねぇか、別に!眠たかったんだよ、あの時」
「眠たかったじゃないわよ!据え膳食わぬはって言うでしょっ!」
「恥だな」
「男の恥だ」
待てぇー!何だ、その白い視線は!てか言わせてもらうがなぁ、
「仕方ねぇだろ!旅行行くって言ったらそんなおいしい思い一人さしてたまるかって剛史!お前だろ、前日にオールで連れまわしたやつは!」
「ああ、そういえばそんなこともあったな」
あったなじゃなくて、
「オールがなんだってんのよ!男だったら眠かろうがしんどかろうが据え膳ちゃんと食いなさいよっ!めちゃくちゃその気で行ったあたしが馬鹿みたいじゃない!」
知るかっ!
「あの後あんたが不能なんじゃないかってちょっと心配して草二くんに相談しちゃったじゃない!」
変なこと相談するな!そういや一時期草二が変なこと言ってたが、元凶はお前かぁっ!!
「草二って?」
「コイツの弟」
2つ下の弟です。オレより身長が高いかなり生意気な弟だけどな。畜生、背ばっかり伸びやがって。成績はオレのほうがいいけどなっ!運動神経では負けてるけどっ!
「あれ?俺てっきりその時に童貞捨てたもんだと思ってたんだが、お前ひょっとしてまだ捨てて……っ!!!!!」
オレが投げたビールの缶(中身入り)は見事に剛史の頭にヒットした。
うるせーよ!余計なお世話だど畜生――――っ!!!!!
酒瓶片手にやって来た(というか来させた)梶原の言葉に、オレは乾いた笑みを浮かべた。
「梶原くんおっそ~い!」
ぷぅ~と頬を膨らませて怒る美紗子に「ごめん」と返事をしながらも視線でどういうこと?と問いかけてくるが、オレ自身今の状況が分かっていないのに答えられるわけがない。
映画館で会ってしまったあと、普通ならその場で別れるはずだ。オレ自身そのつもりでいた。曲がりなりにも片方はカップル。せっかくのデートの邪魔をしては悪いというものだろう。
しかし現実とは奇妙なもので、現時点でオレ、藤代、美紗子、剛史の4人はうちのアパートに転がり込んできている。
何がどういう話の流れになればうちのアパートで酒盛りなどということになるのか説明してほしい。
んでもってどうせなら人数増やそうっつーことで梶原や森口に電話をし、強制召集をかけたのだ。主に美紗子が。
なんだ。夏の悪夢、再び!か?笑えねぇつーの。ちなみに山脇と乾にも声はかけたのだが、2人ともデート中だそうで断りやがった。明日制裁を加えたいと思います。
「酒持ってきたか?」
「一応、貰い物だけどワインが家にあったから」
「あ、白ワイン!あたし大好き~」
目ざとく梶原の持ってきたワインを奪う美紗子に、奥から声がかかった。
「渡辺~、オーブンもういいみたいだけど、これ入れて焼いたらいいの?」
「待て!お前は何もするなって言ったろ!!美紗子、あれはお前が作ってたやつなんだからお前がやれ!!あいつにはマジで料理さすな!!!オーブン壊れる!料理焦げる!!!!」
オーブンに手をかけている藤代を見た瞬間、オレの血が全部下がったのが分かった。
美紗子も藤代のダメダメっぷりはよく知っているのだろう。「了解!」と言って藤代のところにすっ飛んでいった。
ふう。
とりあえず一安心だ。
「あ、お魚もういいみたい。剛史ー、グリルの中の魚とって」
「へいへい。あ、美紗子フライパンで焼いてるやつはいいのか?」
「きゃーっ!!焦げてるじゃないっ!!!早く火止めてっ!!!!藤代、それくらいできるでしょっ!!」
「ええ!?こ、こう?」
「ば、馬鹿!!火強めてどうするんだよ!!」
「逆よ逆っ!!!」
賑やかだな……。もっと落ち着いて料理しろよ。
「なぁ、何がどうなってるんだ?」
「オレに聞くな」
とりあえず、梶原の問いには答えられそうにない。
「今回料理は美紗子ちゃんがメインで作ってみました~!」
テーブルに並んだ料理(ところどころ焦げたり不恰好な形のものがあるが)は色鮮やかでおいしそうだ。
「よくこれだけの料理作れたな」
「あたしだって料理の勉強くらいするのよ」
「へー」
「まぁ、とりあえずは乾杯しようか?」
梶原の言葉にグラスにそれぞれ好みの酒を注ぎ「乾杯!」とグラスを合わせる。
「おお、意外と食えるな!」
「意外とってどういう意味よっ!」
早速失言をかましたのは剛史だ。美紗子に食って掛かられ、回答を避けて視線を逸らせれば綺麗に伸びた爪で頬を引っかかれた。
「いや、でも本当に美味しいよ」
そんな様子に苦笑いをしながらフォローを入れるのは梶原だ。やたらキラキラした王子様スマイルで美紗子を褒める。
とたんに機嫌が直るのだから女とは現金なものだ。だがここで天狗にさすのは面白くない。
「確かに、昔食った美紗子のカレーに比べたら格段の進歩だな」
「あ、あれは……っ!」
意地悪く昔の話を掘り返せばとたんに美紗子が焦った声を出す。
「あー、あれか。高3のとき食ったっていう……」
「ちょっ!なんで剛史知ってんのよ!?」
「オレが喋ったからに決まってるだろ」
にやにや、にたにた。
「カレーって?」
首を傾げて疑問を口にしたのは森口だ。いらないことをと舌打ちする美紗子を無視して話を続ける。前のときはオレの恥話を散々されたからな。今度は美紗子の恥話で盛り上がらそうではないか。
「前に美紗子にカレー作ってもらったことがあるんが……」
オレの口を塞ごうと美紗子が身を乗り出したが、ナイスなタイミングで剛史が後ろから羽交い絞めにする。ついでに口も塞いでくれたから心置きなく喋れるってもんだ。
「カレーなんて材料切ってルー入れるだけだろ?なのに何故か壮絶に苦くてさぁ」
「こ、コーヒー入れたら深みが出るって聞いたから……!」
口を塞いでいた手に噛み付いて自由を得た美紗子が早速抗議してくる。
「だからってスプーンに3杯も入れるな、馬鹿。しかも材料の大きさばらばらだから生のもあるし」
「仕方ないじゃない!そのときはまだ料理なんてしなかったのよ!!」
「料理しない人間でもカレーを失敗するヤツはそういないぞ?」
「いるわよ!藤代だったら確実にあたしよりひどくなるわ!」
そう言って視線を藤代に向ける。
「いや、こいつと同列に見ちゃっていいのか?」
「……ごめん」
うんうん。そうだよな。
「おーい、藤代ヘコんでるぞ」
「フォロー入れてやれ」
「いや、事実だし。いいだろう、ほっておこう」
そう言えば藤代が恨みがましそうな視線を向けてきた。
「高橋、酷い……」
え?酷いのオレだけ?何で名指しでオレだけなのよ?
釈然としないものがあるがまぁいいや。聞くのも面倒くさいし。
「ところで、何でこのメンバーで酒盛りってことになったんだ?」
おお、いきなり直球!?確かに気になるところではあるが、よく聞く気になったな森口。まぁ、雰囲気が緩いから聞きやすかっただけなのかもしれないが。
「高橋と映画に行ったら偶然2人に会ったんだ。そしたらせっかくだから飲もうってことになって」
のほほんと藤代が答えれば森口が微妙な顔をした。
映画館に行く原因ってこいつ等だもんなぁ。
「でもびっくりしたなぁ。いつの間にか2人付き合ってるんだもん」
「は?」
「え!?」
いや、爆弾発言をいきなりかましますか、藤代さん?
「つき、あってんの?」
森口が動揺も露に剛史と美紗子の顔を交互に見る。
それに苦笑いしながら2人が頷くとどうしていいのか分からなかったんだろうな、俺の方に視線をよこしてきた。
だからといってここで俺に助けを求められても困るんだが……。
「それは、凄い……」
だろうな。凄いメンバーだと思うよ。俺も。
「そうねぇ~。歴代彼氏を3人もこうして並べてってのも珍しいわよね~」
おい。美紗子ちゃん?
「3人?」
「今カレ、元カレ、元々カレ」
森口の不思議そうな問いに美紗子は剛史、藤代、オレの順で指差しやがった。
「え!?」
「…………」
「あいたぁー……」
驚く森口に絶句する藤代。そして梶原には痛いのはオレだと言いたい。
美紗子もさらっとそういうことを言うなよな。
「あれ?言ってなかったっけ?藤代の前に高橋と付き合ってたこと」
「聞いてないです」
いやいや、普通そういうこと言わないでしょ。森口もなんか敬語になってるし。
「あれ?じゃぁ、何か。お前ら穴きょう……あだっ!!」
森口が下品極まりないことを言おうとしたがそれは梶原の鉄槌によって遮られた。だが、これだけは言わせてもらいたい。
「言っとくが、付き合うっても3ヶ月くらいだぞ?」
断じて美紗子とは何にもなかった!いや、キスぐらいはしたけど、舌くらいは入れたけど、それ以上のやましいことは一切何にもしておりません!だから穴兄弟なのは藤代と剛史だけだ。
言外にそう伝えたのだが、剛史により激しい反論が入った。
「はぁ!?何言ってるんだよ。お前、旅行行ってただろ?ゴールデンウィークに!」
ああ、そういや行ったな。美紗子と付き合いだしてすぐに。確か近所の商店街のくじ引きかなんかで当たった温泉旅行。
でもしてないぞ。
「そう。あたし、一樹にずっと聞きたかったの……」
あ、あれ?何で美紗子ちゃん睨んでくるんの!?
「コイツ、あの時あたしに手出してこなかったのよ!!!!」
「何ぃ!?」
「はあ!?」
「うそだろ!?」
「付き合ってたのよ!あの時確かに!しかも高3よ、高3。下着だって可愛いの買って準備万端だったのに、この男あたしがお風呂から出てきたらぐーすかと先に眠りこけてたのよっ!!何であの時手出してこなかったのよ!!?」
びしっ!と俺に指を突きつけて酷い男とばかりに罵られた。
「おいおいおいおい」
「お前、普通寝るか?」
信じられないとばかりに言われるが、悪いのか?手出さなきゃいけないって法律でもあるのかっ!?
「いいじゃねぇか、別に!眠たかったんだよ、あの時」
「眠たかったじゃないわよ!据え膳食わぬはって言うでしょっ!」
「恥だな」
「男の恥だ」
待てぇー!何だ、その白い視線は!てか言わせてもらうがなぁ、
「仕方ねぇだろ!旅行行くって言ったらそんなおいしい思い一人さしてたまるかって剛史!お前だろ、前日にオールで連れまわしたやつは!」
「ああ、そういえばそんなこともあったな」
あったなじゃなくて、
「オールがなんだってんのよ!男だったら眠かろうがしんどかろうが据え膳ちゃんと食いなさいよっ!めちゃくちゃその気で行ったあたしが馬鹿みたいじゃない!」
知るかっ!
「あの後あんたが不能なんじゃないかってちょっと心配して草二くんに相談しちゃったじゃない!」
変なこと相談するな!そういや一時期草二が変なこと言ってたが、元凶はお前かぁっ!!
「草二って?」
「コイツの弟」
2つ下の弟です。オレより身長が高いかなり生意気な弟だけどな。畜生、背ばっかり伸びやがって。成績はオレのほうがいいけどなっ!運動神経では負けてるけどっ!
「あれ?俺てっきりその時に童貞捨てたもんだと思ってたんだが、お前ひょっとしてまだ捨てて……っ!!!!!」
オレが投げたビールの缶(中身入り)は見事に剛史の頭にヒットした。
うるせーよ!余計なお世話だど畜生――――っ!!!!!
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